セシ連合国飛竜島カクアル出身、大空駆けるゲイルの一族の少年。現在はアルビオンの郵送ギルドに属し、愛竜と共に世界を駆け回り、飛竜の郵便屋さんとして働いている。
まだ幼い頃、彼は竜の卵を拾った。竜の卵はカクアルでは珍しくはなかったが、普通道端に放置されるものではない。ちゃんと巣で親竜に温められて孵るものだ。トビーはその卵を持ち帰り、大人たちに知恵を借りて卵を暖めてやった。かくしてその卵から飛竜は無事生まれてこそきたものの、温められずに放置されたのが良くなかったのか、ノーブルと名付けられたその竜は生まれつき左足を引きずってしか歩くことができなかった。それでも飛ぶことに支障はないからと、トビーとノーブルは比較的穏やかな業種である郵便の仕事をはじめる。ノーブルは気性の穏やかな賢い竜でトビーのことを親のように慕っていた。しかしトビーは正直ノーブルとのコンビがあまり好きではなかった。それと言うのも足の悪いノーブルは動きも鈍く、ちっとも格好良くなかったから。空駆ける竜乗りに誰もが憧れるゲイルの一族の少年にとって格好よさは大事なことだったのだ。
そんなわけで、カクアルに生まれたからって無理に飛竜乗りになることはないんじゃないかとトビーが真剣に考え出した頃。彼らはある郵送の仕事を請け負った。依頼主はとある考古学者。運ぶものは古いつぼ。やたらめったら重たい荷物というだけで、別に変わった仕事ではなかったが、トビーの不注意で輸送中につぼの蓋が外れてしまう。そして不幸なことに、そのつぼの中には厄介な「悪魔」が住んでいた。「悪魔」はつぼの蓋を開けたトビーの命を奪って逃げようとしたが、それを身を呈して阻んだのがノーブルだった。「悪魔」は仕方なくノーブルの命を奪って逃げた。だが弱りながらもノーブルは死ななかった。強靭な竜であるノーブルは「悪魔」の力に負けなかったのだ。弱り果てながらも自分を守ってくれたノーブルを見てトビーは心底自分を恥じた。本当に大事なのは格好よさではなかったのだ。
しかし、ここで望みなく話が終わるかと言うとそうではない。依頼主の考古学者いわく、その「悪魔」を探し出すことができれば奪われたものを取り戻す方法があるらしい。トビーはノーブルとともに「悪魔」を探し始めた。希望は捨てない。格好悪くても優しい、世界で一匹の大切なノーブルのために。ちなみに「悪魔」は人間の膝丈くらいの大きさで、黒い肌に長い鼻、これまた黒いとんがり帽子をかぶっていて、ぴょこぴょこ跳ねて移動する。見つけた方は郵送ギルドまでご連絡を。
元気で、ややおっちょこちょいなところも。商売をしているためどこか生意気な少年だが、田舎の出身(笑)なので根は素直。騎士ではないが飛竜の民として竜の扱いには誇りを持っている。
- ガーライルと顔見知り。
- ルクトが兄貴的存在でよく情報交換をしている。