新たに即位したシャンディル新王国の女王の元でその補佐に励む青年、本名をシレノス・ロートランド=ゼフィルと言い、歴とした旧ゼフィル王国の第二王子である。第二王子として生まれた彼は王位継承権がないが故に、幼い頃は両親や兄になかなか構ってもらえず寂しい思いもしたようだが、その代わり王族として厳しい勤めを強いられることなくシャンディルの国土と接し、のびのびと育てられた。そのせいか、物心つく頃にはシャンディルの風土を愛し、馬たちを愛し、王家の王の馬に対する憧れを抱く少年へと成長していた。だが王とならぬ自分が王の馬セレンスに乗ることは叶わない。ならばせめて王の馬の世話を自分でできるようになりたいと、城下の装蹄師(馬の蹄を診て、蹄鉄をつける職人のこと)に弟子入りをして暫く修行に励む。兄は次期王として、自分は補佐として、これからもセレンスと共にゼフィル王国に更なる繁栄を。そしてその未来は何事もなくやってくるはずだった。
突然の父王の変貌、母妃の自害、そして愛した国土の荒廃を見て彼は王国の崩壊を知る。かつて豊かだった国土を見やり悲しそうに嘶くセレンスを見て彼は王との決別を決めた。父王の殺害を実行し、失敗し捕らえられた彼は手引きにより逃れた後解放軍と合流し、現女王リーネと出会う。それ以来、彼の王は彼女になった。15歳の少女にとってそれがどれだけ重いかを知りつつも、彼女以上に王に相応しい人物はいなかった。
王権交代を成功させた後は補佐として忙しさに目の回る日々。しかしふと手空きになった時間に考えるのは、父王の変貌の理由、道を違えた実兄の安否、そして王となってしまった少女の孤独。甘い戯言だと笑われても、誰もに幸せになって欲しいと願う彼が黒と白の調和した灰色の衣を身に纏わない日はない。
穏やかな雰囲気をした青年。あまり我は強くなく日々色々なことを内に秘めて生きるタイプだが、思いつめた時の行動力はかなりのもの。剣の才能は全く無いが、実は策を廻らす知将としては優秀。しかし理想家であり、持って生まれた甘さと情が災いしてかその力を発揮できないことが多く、乱世の世に役立つというには今一歩。
- エクサルが兄にして超えたい大きな存在。
- リーネが親友。
- サイラスが幼い頃親代わりで懐いていた。
- アズマリアが子供の頃からの知り合いで護衛役。
- エイリークが父王暗殺を妨害した。
- コロナが馬仲間。
- ユリアスと幼馴染み。
- バンノックの真の目的を知っている。
- カメリアとは昔話相手で、最期の戦いに居合わせた。
- ウェルガージに大切に思われている。
- リリがかつての師匠で、解放軍時代に軍師の位置を託された。
- ロジーナと知り合い。
