千年王国ベルドラ(現在は共和国)の建国王であり、偉大なる大魔道士と呼ばれ、彼の地に光をもたらしたと語られる人物。彼は世界の覇権が人間以外の異種族によって激しく争われていた時代、現在のベルドラ共和国の地で父ファーレーン・ロイヴァスの子としてベルナルド・ロイヴァスと言う名を与えられる。争いに荒廃する世界の中、人間の暮らしを守るため戦うことを覚えたロイヴァスの一族として生を受けた彼は、兄シウス(シベリウス)や親しくなったハイエルフのアーガスらと技を磨いた。彼らの戦いは故郷の島で密かに、だがずっと続いていくものと思われた。
そんな生活に大きな転機が訪れたのは兄シウスの旅立ちだった。シウスは光の聖剣の使い手に相応しい人物を捜していた月の神殿主ティテューリアの導きにより、争いの原因たる異種族の三王を倒しうる勇者として選ばれたのだ。旅立ちの日、ベルドはアーガスとともにシウスを見送った。大役でも、努力家で立派な人間だった兄ならばやり遂げるであろうと信じていた。だがシウスは帰ってこなかった。帰ってきたのは兄の訃報、そして光の聖剣を携えた少女だけだったのだ…。
悪い魔法にかからぬよう本当の名を隠し、世界の平和と、そして兄の仇のため、彼もまた三王討伐の長き旅へと出る事になる。それは本当に長く厳しい旅だったが、後に妖精ロゼスピエヌが残した『ベルドラ叙情詩』に登場する仲間たちと出合い、兄の仇である竜王を討ち、魔覇王を倒し、遂には神獣王の元へとたどり着く。しかし神獣王との激闘の果てに彼は遂に力尽きる。薄れ行く意識の中聞いたのは、ティテューリアの声。出会ったころは兄を見殺しにしたと憎しみの感情すら抱いていた少女。だがそのうち彼女も辛い運命を抱えていると知った。そしていつしか惹かれはじめていた頃だった。だが彼女は自分の命を犠牲に、ベルドを死の淵から救ったのだった―…。
そして戦いは終わり、使命は果たされた。だが彼はかけがえのないものを失った。歴史上人間の世界に光をもたらしたといわれるその勝利は、栄光だけに満ちたものではなかったのだ。
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三王討伐から戻った後、彼は生まれ故郷の島に戻りベルドラ王国を建国し初代国王となる。忙しく職務をこなす傍ら再びの有事に備え、かねてからの弟子たちに自らの魔道の技を余すことなく伝えた。新しい国は概ね平和で、仲間たちも新たな道を歩みだし、彼自身にも平穏な生活が訪れた…かのように見えた。
建国より数年、突如体調を崩した。暴君とは言えど高貴なる異種族の王たちの怨嗟の念は、人間である彼の身体を徐々に蝕んでいたのだ。あらゆる手を尽くしても彼が魔術を使うたびに呪いは拡大し、その症状は進行した。彼が延命する方法はただ一つ、魔法を使うことをやめ静かに暮らすことのみだった。その事実が判明した後、周りの者は王に引退を勧めたが、彼はまだ全てを伝えきっていないと弟子たちに魔術を伝えることをやめなかった。その姿には死への恐怖と躊躇いはなく、ただ有意義な生を全うせんとする覚悟と情熱があった。それから程なくして、遂に王の呪いが彼の命を奪う日がやってくる。最期は親友の腕の中、偉大なる大魔道士はやるだけのことはやったと、満足げにその生涯を終えたという。
ちなみに、彼が生涯独身を通しベルドラ王国の次の王座に自らの弟子を据えた理由は、自らを死に追いやった王の呪いが子孫に伝播するのを恐れたためだと言う説と、共に旅した月の娘ティテューリアを最期まで思い続けていたのだという説が真っ向から対立して今に至る。だが亡き彼の胸中を知る術は、今はもうない。
まさに弱きを助け、強きを挫くといった義に厚い人格者。まっすぐなその性格は後世では美点として語られるが、若かりし頃はそれが熱くなりやすいと言う欠点でもあったようだ。魔術師らしからぬ熱血漢ではあるが、目標に向かう情熱と精神力は何よりも強い。
- アーガス、レアン、シェリスタ、ティテューリア、ナナカ、ロゼスピエヌ、ベルリートとパーティ。
- アーガスと親友。
- ティテューリアを想っていたが告げられなかった。
- サライを信頼し可愛がっていた。